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​世界最大のスポーツイベントの象徴を抱く!
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 このエッセイはこれまでギターに関連したことばかりを話してきたのだけれど、今回はちょっと番外編。

 この写真の僕が持っているカップはまぎれも無く本物である。98年フランス大会決勝で、ジダンがブラジル相手に2得点して獲得した、そのときの物である。86年メキシコ大会で、マラドーナがKISSしたアレである。ひょんなことから、FIFAの公式スポンサーM社の計らいで日本開催の年の4月のとある日、カップと対面させてもらった。

 このカップの周囲は常時5~6名の警備員が囲んでおり、さすがに厳重なムードが漂っていた。この時、いよいよ日韓ワールドカップ本番に向け、前回優勝国フランスを離れて海を渡ったのだ。

 

 昔はこのカップもジュール・リメ杯と言って全然姿の違ったものだった、以前のそれは展示していて盗まれたり、無事に戻ったりといった事件が何度かあったようだが、当時の取り決めで3回優勝したブラジルに永久所有権が与えられた。それが1970年のこと。

 したがってこの僕が持っているカップは、1974年に新たなデザインを公募して作られたものだ。イタリアの芸術家の大勢の中から選ばれたようで、デザインは世界(地球)を人が支えているようなイメージである。よく観察してみたが、一応、わが日本国も入ってはいた。しかし残念ながらイタリアの芸術家にはあんまり日本への関心が無かったようで、北海道は本州にくっついていた。北方四島も一応デフォルメされてはいたが、きっちり入っていた。また、このカップの底にはよくある緑色のフェルト生地が張ってあって、なんか、底だけは拍子抜けするくらい当たり前の、カップらしい仕上げだった。(タイトルのアップ写真は日本周辺のあたり)

 

 結構重さもズシリとあり、形が不安定なものだから、持ち上げるのには気を使った。それに警備員の人達はみんな白手袋で触っていたし。この日の後で知ったが、今後は何回優勝してもこの本物は所有できないルールに変わってているそうだ。優勝国は金メッキ製のレプリカが代わりにもらえるらしい。つまりフランスにっとては、今回優勝できなければ、この本物は手放して、メッキ製が代わって帰ってくると言うわけだ。

 このカップは昨日は東京、この日は名古屋数箇所を1日中回って、明日は札幌、その後来週には韓国へ渡り、さまざまなイベントを繰り広げ、その後は再び日本へ戻って決勝戦の勝者を待つことになる。果たして6月30日、日本で行われる決勝戦で、いったいどこの国の選手がこのカップを抱くことになるのか? 今回、僕は幸運にも持たせてもらったが(素手で)、こればっかりは中田にも、小野にもちょっと経験できないだろう。

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